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第5回 イソバンドデザインコンテスト 審査委員賞[山本理顕]受賞者インタビュー

三次元的に入り組んだメゾネット住宅

 武蔵小山アパートメント

武蔵小山アパートメント
道路側ファサード夕景(写真撮影:新建築社 写真部)
すべての住戸に階段で上り下りする部屋を設けた、メゾネット式の賃貸住宅。界壁を一律に縦横へ仕切るのではなく、各住戸をまるで三次元パズルのブロックのような複雑な形状として、すき間を設けながら積み重ねた。複雑な内部空間の構成は、外観にも映し出されている。
 
田口 知子-田口知子建築設計事務所
田口知子氏    
 

 

   

田口 知子氏

   
 

この建物は土地活用のために計画された、ワンオーナーの賃貸マンション。敷地面積当たりの収益率を考慮すると、ワンルームとして設計するのが最も効率的になる。
「ただ、設計者の立場として、収益や効率のみを考えるただの狭い箱にはしたくありませんでした。人間が暮らす空間として、住み続ける価値のあるものにしたかった。『本当にいい空間が満室で維持される方が、結果的にはお得ですよ』と力説しました」。設計者の田口知子氏はそう話す。

はじき出した建築規模は、容積率緩和措置を利用できる半地下階(1階)を設けた、メゾネット式の4階建て。玄関は1階、2階または3階にあり、例えば2階の玄関を通った住民は3階を、3階住民は4階を利用できるように振り分けた。これならエレベーターがなくても負担は少ない。1LDK・専有面積40㎡の住戸が、16戸できる計算になった。

 
徹底的にすべてをずらす

1階を半地下にした理由には、前面道路、隣地がすぐそばに迫っており、周辺との視線をずらす必要があったこともある。デザインではそれを逆手に取った。
「ずらすことで、隣地側の閉じた部屋と道路側のオープンな部屋を組み合わせて、各住戸に明るいリビングを確保しつつ、すべてのボリュームを使い切ることができるのです」と、田口氏は説明する。

また、「外観は複雑な内部構成がにじみ出るようにしました」と話す。鍵型に連続したように見える窓は、すべて一つの住戸だ。さらに外壁を造形的に刻んで、その部分はテラスとした。風変わりな外観はこうして生まれた。

外壁仕上げ材に「エスガード」を使うことは当初から決めていたという。「この建物には、なるべく機械のように、無機質な感じの仕上げがいいのではないか??模型を作成しながら、ずっとそう思っていました」。マットな金属パネルの雰囲気が、そのイメージにぴったりだった。

内部の界壁が入り組んでいるため、耐震性は基本的に外周部の壁で負担している。「エスガード」がコの字を描く外壁の内部は、鉄製ブレースで固い構造に仕上げている。
開口面の大きさや種類の多さもこの建物の魅力の一つだ。「サッシ枠の面を外壁に揃えたかったので施工者の方にはご苦労をおかけしましたが、しっかり雨仕舞いもできました」と、田口氏は振り返る。建物は2007年夏に竣工、現在も満室で稼動している。

 
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日経アーキテクチュア2009 9-28号

文/池谷和浩

 
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